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she luv itのカバーEPというだけで戦慄。大阪極悪HARD CORE PUNKがここにある。9/14リリース。
オフィシャルレビューが完璧過ぎるので自分が言うことはとても少ないのですが、she luv itの絶対零度の炎が矛盾を内包した世界を飲み込む。カバーを聴く時に何を聴く?アレンジや崩し方?she luv itは質量を変えず楽曲をPLAYしているように感じた。残虐で唯一無二の世界がここにあります。配信は予定していないようです。
2010年代初頭から大阪を拠点に活動を続けるshe luv itが、正規単独作としては2019年のアルバム以来2作目となるCDを地元大阪のFurious Recordsからリリースする。そしてその内容はカバーEP。
ブックレットの類はなく簡素な印刷が施されたディスクと、おそらく便宜上の理由のみで題された『II』というタイトルでパッケージされた今作は、intro / skit / outro以外はすべてカバー曲によって構成されたコンセプトEPとなっている。
カバーされている原曲のクレジットは現段階では公開されていないが、ここでアウトプットされるサウンドからは、いわゆるBEATDOWN HCの草分け的存在や80's SWEDISH HC、日本国内のCRUSTCOREなど、she luv itとして関わるメンバーそれぞれが、PUNK/HARDCOREにおける細かなジャンルの分け隔てなく捕食してきた様々な影響を感じ取ることができる。
前述のように今作はカバーEPである。原曲をそこまで大胆に崩している印象もないが、それでもやはりshe luv it特有の"質感"のようなものが作品全体に強く加味されている。
それはメンバーのうち3名がそれぞれ指揮を執って制作されたというintro / skit / outroの存在も間違いなくあるが、それ以上にこのバンドが持つ冷徹、冷酷な感触によるところが大きい。むしろ"無機的"とまで言ってしまった方が正確なのかもしれない。
感情の熱に晒されるようなHARDCOREという音楽において無機的であるということは悪手になりうるが、今作含め各音源や常々ライブでの観衆の反応をとってみても、she luv itの場合は悪手には陥らずむしろ音の残虐性を増幅させることに成功している。
体温のないドローンやAI兵器に躊躇なく制圧されるような圧倒的な残虐性。HARDCOREにおいてその稀有な感覚を提示できるバランスが、カバーEPというコンセプトのもとでもshe luv itをやはり特異な存在として成立させている。
Sazanami(mouse records)
価格:2,200円
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