SEMINISHUKEI。GOOD MUSIC. GOOD TIME. GOOD ROOM.

OVERALLと出会った時はいつだっただろうか？その時OVERALLっていう名前ではなかった様にも思う。記憶は曖昧なものでいつも役に立たない。あの夜や昼の記憶がこもった一曲の様に素晴らしい程に。毎日と矛盾が往復を続けている。良い音楽が流れ、良い空間があり、そこでの時間軸は様々な方向を向いていて、ゆっくりと座ったソファーから音に合わせて揺れている自分の姿が見える。集中していない様で何かに夢中で居る様な。

このMIX CDに巡り会える世の中は悪く無いと思う。
素晴らしいの一言でしか表現出来ない作品。

---以下はSEMINISHUKEIドンによるREVIEW---
門３３の都バスに乗りながらoverallのmixを聞いていたら２つのことが頭をよぎった。



高校時代に渋谷シスコテクノで試聴を待っていた時、店員と会話していた客の言葉だ。

親しげな長髪のその男性は「ターンテーブルの上で音楽がかかればすべてが平等。だから人は踊るのだ」と口角泡を飛ばしながら力説していた。

ヒッピーに対する偏見もあり、「へー」としか思わなかった。

彼が本当にヒッピーだったかは分からないが、いやに頭に残った。



もうひとつはドラえもんの道具だ。

未来から来たのにタケコプター。

現代でも遊ぶ人が減った竹とんぼをベースに最新の機器を作っている。

僕がのび太なら突然ポケットから出されたこの道具を

頭につけるまでしばしの理解と時間が必要だろう。



音楽における時代とジャンル。

これを持ち時間の中で構成し、表現することがDJの資質だと私は考える。



“今”を表現するために最新の音楽をかけ続ける必要はないのだ。

求められるのは“今”が何かを知る嗅覚。彼はそれに長けている。



結果、生まれたのはドラえもんの道具のような…と書くのは野暮かな。

ただ、「古くならない」MIXが出来上がったとだけは言いたい。



花束を渡すつもりであの娘に贈ってもきっと喜ばれると思う。（DONK）